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⑯ 医療デジタルデータのAI研究開発等への利活用に係るガイドライン

2026年5月14日  2026年5月14日 

⑯ 医療デジタルデータのAI研究開発等への利活用に係るガイドライン

項目 内容
タイトル 医療デジタルデータのAI研究開発等への利活用に係るガイドライン
発行元 デジタルデータのAI研究開発等への利活用に係るガイドライン作成班(厚生労働科学研究費補助金・政策科学総合研究の一環)
発行日 令和6年3月31日(2024年3月31日)
バージョン 初版
対象者 医療機関等の医療従事者、学術研究機関等の研究者、民間企業等の開発担当者(主に診断用医療AIソフトウェアの共同開発に携わる関係者)
総ページ数 61ページ
リンクURL https://www.mhlw.go.jp/content/001310044.pdf

内容の詳細な要約

第1章:はじめに

AI技術の発展により、病院に蓄積された大量の医療情報を活用した研究開発競争が世界的に激化している。一方、医療情報は要配慮個人情報に該当し、原則として本人の同意なく利活用できない。過去患者から個別に同意を取得することは現実的に困難なため、仮名加工情報の枠組みを活用した解決策の整備が求められていた。本ガイドラインは令和4〜5年度の厚労科研の一環として策定された。

第2章:医療情報の利活用と法的根拠

医療情報の利用目的を「診療目的」「学術研究目的」「製品開発目的」の3類型に整理。個人情報保護法上の重要な規律として以下の3つを解説している。

  • 利用目的による制限(第18条):目的外利用の禁止と例外事由
  • 要配慮個人情報の取得の制限(第20条第2項):原則同意必要、学術・公衆衛生例外あり
  • 第三者提供の制限(第27条第1項):原則同意必要、学術・公衆衛生例外あり

「学術研究例外」は、学術研究機関等(主体要件)が学術研究目的(目的要件)で取り扱う場合に適用され、民間企業等と共同研究を行う場合も包含される。一方「製品開発のみ」の目的には学術研究例外は適用されない。「公衆衛生例外」は同意取得が困難な場合に限り適用可能。委託・共同利用を根拠とした製品開発目的での民間企業への提供は困難なケースが多い。

第3章:仮名加工情報とその共同利用

仮名加工情報は、氏名等を削除することで他の情報と照合しない限り個人を特定できなくした情報で、利用目的の変更制限が緩和される。

重要なポイントとして、仮名加工情報は原則として第三者提供禁止だが、共同利用の形式をとれば提供が可能。共同利用では、①共同利用する旨、②データ項目、③利用者の範囲、④利用目的、⑤管理責任者をあらかじめ公表する必要がある。また、「転々流通の禁止」として、元の医療機関等を共同利用の範囲に含めない形での取り扱いは禁止されている。

提供元の医療機関等では仮名加工情報は「個人情報である仮名加工情報」、元データを持たない提供先の民間企業等では「個人情報でない仮名加工情報」として扱われ、それぞれ異なる義務が適用される。

第4章:仮名加工情報の作成手順(総論)

医療情報に含まれる記述等を以下の6類型に分類している。

類型 説明
個人識別符号 単体で個人特定可能な符号 ゲノムデータ、マイナンバー、保険証番号
識別子 単体で個人を識別できる記述 氏名、顔写真
準識別子 組み合わせにより個人特定が可能な記述 生年月日、住所、性別
財産的被害が生じる情報 不正利用で財産被害の恐れがある情報 クレジットカード番号
連結符号 個人情報を連結するための符号 カルテ番号
連絡先情報 本人への連絡に使える情報 電話番号、メールアドレス

加工手順は以下の通りで、①〜⑥が必須、⑦⑧が推奨。

  1. 利用目的を特定
  2. 医療情報を特定
  3. 識別子・準識別子等を特定
  4. 識別子に対する措置(必須):削除・置換・マスク処理
  5. 準識別子に対する措置(必須):「番地までの住所」を「市区町村まで」に一般化は一律必須
  6. 個人識別符号・財産的被害が生じる記述等の削除(必須)
  7. 連絡先・連結符号(カルテ番号等)の削除(推奨)
  8. 漏えい時のリスク低減措置:郵便番号・生年月日の一般化、医療機関識別情報の削除等(推奨)

第5章:医療情報の種類別の具体的加工手順

医療情報は「メタ情報領域」(システムが機械的に処理する領域)と「コンテンツ情報領域」(医療従事者が入力・参照する領域)に分類して加工する。

  • 診療テキスト情報(XML形式):ヘッダ部(氏名・住所・電話番号等)は必須加工。ボディ部(自由記載)は目視確認が必要。
  • 生理機能検査情報(CSV形式):カラムに含まれる患者基本情報を加工。検査値自体は通常加工不要。
  • 医用画像情報(DICOM形式):DICOMタグを個別に確認し加工。顔写真・ピクセルへの埋め込み文字等はマスク処理が必要。顔面を含む放射線画像の表面再構成データは準識別子相当として扱う。
  • 遺伝子検査情報:1号個人識別符号に該当するか否かを個別判断し、該当する場合は全部削除が必要。
  • マルチモーダル情報:複数種類を組み合わせる場合は、横断的に準識別子の組み合わせを検討する必要がある。

第6章:医療機器の研究開発サイクルと法的根拠

診断用医療AIソフトウェアの開発プロセスを7段階に分け、各段階での適切な法的根拠を整理している。

段階 主な性格 推奨される法的根拠
①探索 学術研究 学術研究例外
②開発 学術研究→製品開発 学術研究例外 or 仮名加工情報の共同利用
③性能評価 製品開発寄り 学術研究例外 or 仮名加工情報の共同利用
④承認申請書類作成 製品開発のみ 仮名加工情報の共同利用(必須)
⑤承認申請 製品開発のみ 統計情報としてPMDAへ提出(個人情報保護法対象外)
⑥承認審査 信頼性調査 法令に基づく第三者提供(個情法第27条1項4号)
⑦製造販売承認後 再学習等 改めて仮名加工情報の共同利用を設定

異なる法的根拠に基づいて取得した情報を同時保持する場合、準識別子の組み合わせによる識別行為禁止義務違反のリスクがあるため、利用目的終了後は速やかに返還・消去・破棄することが原則とされている。

⑯「医療デジタルデータの AI 研究開発等への利活用に係るガイドライン」について

項目内容
タイトル「医療デジタルデータの AI 研究開発等への利活用に係るガイドライン」について
発行元厚生労働省 大臣官房厚生科学課・医政局研究開発政策課
発行日令和6年(2024年)9月30日
バージョン記載なし(事務連絡)
対象者関係各施設等機関、国立研究開発法人、独立行政法人、都道府県、特別区、保健所設置市、関係各団体
総ページ数1ページ(本文のみ。別添ガイドライン本体は含まれていない)
リンクURLhttps://www.mhlw.go.jp/content/001310039.pdf

📄 内容の詳細な要約

作成の経緯

令和5年度厚生労働科学研究費補助金(行政政策研究分野・政策科学総合研究)の枠組みのもと、以下の研究体制でガイドラインが作成された。

  • 総括研究:「保健医療分野におけるデジタルデータのAI研究開発等への利活用に係る倫理的・法的・社会的課題の抽出及び対応策の提言のための研究」
    • 研究代表者:中野 壮陛(公益財団法人医療機器センター)
  • 分担研究:「デジタルデータのAI研究開発等への利活用に係るガイドライン作成班」
    • 研究分担者:浜本 隆二(国立研究開発法人国立がん研究センター)

ガイドラインの目的・想定場面

医療機関・学術研究機関・民間企業等が共同研究を起点として、医療機関等が保有する医療情報を活用した製品開発を行う場合を主な想定場面としている。

ガイドラインの主な内容

項目概要
法的根拠の明確化研究開発のステージ(段階)に応じて、医療情報を利活用するための適切な法的根拠を整理・明確化
仮名加工情報の作成手順医療情報の特性を踏まえた仮名加工情報の具体的な作成プロセスを提示
運用に関する取りまとめ仮名加工情報の運用方法・留意事項を整理
AI活用時の留意事項医療デジタルデータとAIを研究開発等に利活用する際に留意すべき事項を記載

関係機関への依頼事項

  • 別添ガイドライン本体の参照
  • 貴管下関係施設および関係者への周知

⚠️ 注意: アップロードされたPDFは事務連絡の本文(1ページ)のみであり、別添のガイドライン本体は含まれていません。ガイドライン本体の詳細な内容(各章の具体的な手順等)については、別添ファイルをご確認ください。

⑯「医療デジタルデータの AI 研究開発等への利活用に係るガイドライン」の留意点について

項目内容
タイトル「医療デジタルデータの AI 研究開発等への利活用に係るガイドライン」の留意点について
発行元厚生労働省 大臣官房厚生科学課・医政局研究開発政策課
発行日令和6年(2024年)12月19日
バージョン記載なし(事務連絡)
対象者関係各施設等機関、国立研究開発法人、独立行政法人、都道府県、特別区、保健所設置市、関係各団体
総ページ数4ページ(本文2ページ+別添Q&A 2ページ)
リンクURLhttps://www.mhlw.go.jp/content/001359625.pdf

📄 内容の詳細な要約

本文(事務連絡)

1. ガイドラインの性格と従来議論との関係 医療情報は社会的に貴重な資源である一方、機微性が高く権利侵害リスクを伴う。これまで「医療分野における仮名加工情報の保護と利活用に関する検討会」等で慎重な議論が重ねられてきたが、本ガイドラインはそれらの議論で確立された取扱いを変更するものでも、今後の議論を妨げるものでもない。

2. ガイドラインの適用範囲の限定性 本ガイドラインは厚生労働科学研究の成果物として、民間企業と共同でAIを活用した医療機器の研究開発を行う際の、個人情報保護法の下での法的・技術的取扱いを示したものに過ぎない。厚生労働大臣が保有するデータベース、民間企業のデータベース、学会のレジストリ等の医療情報は対象外であり、医療情報全体の中でも限定的な範囲を扱うものである。

3. ガイドライン作成の目的 医療情報は個人情報保護法上の「個人データ」かつ「要配慮個人情報」に該当し、極めて機微な性質を持つ。本ガイドラインは、仮名加工情報を作成・運用するための実践的指針として、また医療情報利活用に対する社会的信頼確保を目的として作成されている。


別添:Q&A(質疑応答集)

Q番号質問の要旨回答の要旨
Q1どのような医療情報を対象とするか医療機関等が診療で取得・保管している医療情報を、医療機器の研究開発等に利活用する場合のみ
Q2個人情報保護法との関係は本ガイドラインで言及した規定を具体的に説明したもの。次世代医療基盤法・臨床研究法等の他法は対象外
Q3次世代医療基盤法に基づく情報は対象外か対象外。また仮名加工情報の「転々流通」も本ガイドラインでは認めていない
Q4学会レジストリ等の医療情報は対象外か対象外。診療機関が保管する情報ではないものは本ガイドラインに言及なし
Q5仮名加工情報の共同利用の範囲設定は「一体のものとして取り扱われることに合理性がある範囲」に限定され、無制限には設定できない
Q6個人情報保護法以外に留意すべき法令は「人を対象とする生命科学・医学系研究」として利活用する場合は、生命科学・医学系倫理指針のオプトアウト手続き等を遵守すること

他のガイドラインは以下よりご覧ください
AIガイドライン 18本 構造化インデックス
【一覧】日本政府 AIガイドライン 18本【INDEX】
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プロフィール:このブログについて 私はこれまで、IT・デザイン・セキュリティという3つの視点から、国家資格の取得を通じて技術や安全のあり方を学んできました。 ウェブデザイン技能検定 2級(国家資格) 情報の整理(構造化)や、使う人が迷わない設計(UX)に関する技術。 情報セキュリティマネジメント試験(国家資格) 大切なデータを守り、適切に扱うための情報リテラシー。 これらの学びは、複雑なAIの世界を紐解くための私の「土台」となっています。 AIとの歩みと、このブログへの想い AI(人工知能)が「ChatGPT」として私たちの前に現れたのは、2022年11月のことでした。今では一部で「チャッピー」という愛称で親しまれるほど身近な存在になりましたが、同時に「何だか難しそう」「セキュリティは大丈夫?」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。 私自身、ChatGPTの登場当初から、GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeなど、各社のサービスを日々の生活や仕事に取り入れ、試行錯誤を繰り返しながら学んできました。 使えば使うほどその便利さに驚く一方で、専門的なバックグラウンドを持つ人間として、 「この技術を正しく、安全に使うための橋渡しがしたい」 という想いが強くなりました。 このブログでお伝えしたいこと 難しい理屈を並べるのではなく、等身大の視点で以下の2つを大切に発信していきます。 まずは無料で体験してみる コストをかけずに、今すぐ日常を少し便利にするためのヒントを共有します。 国のガイドラインを味方につける 総務省や経済産業省などが公開している「無料の公式情報」をベースに、安心・安全な活用方法を分かりやすく噛み砕いて解説します。 最新のテクノロジーを、背伸びせず、正しく、そして楽しく。 皆さんがAIと心地よく付き合っていくための、小さなガイドブックのような場所を目指しています。

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ノーマン・AI研究所
私はこれまで、IT・デザイン・セキュリティという3つの視点から、国家資格の取得を通じて技術や安全のあり方を学んできました。ウェブデザイン技能検定 2級(国家資格)、情報セキュリティマネジメント試験(国家資格)これらの学びは、複雑なAIの世界を紐解くための私の「土台」となっています。このブログでは、まずは無料で体験してみる、コストをかけずに、今すぐ日常を少し便利にするためのヒントを共有します。総務省や経済産業省などが公開している「無料の公式情報」をベースに、安心・安全な活用方法を分かりやすく噛み砕いて解説します。最新のテクノロジーを、背伸びせず、正しく、そして楽しく。皆さんがAIと心地よく付き合っていくための、小さなガイドブックのような場所を目指しています。
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